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あまり鳴かずおとなしく、いつも遠くをながめながら一人で遊んでいるような
猫だった。人になついたりじゃれついたりということもあまりしなくて、
ふと見ると体をのばしていて、それを見られるときまりわるそうにやめてしまう。
いくらでもくつろげばいいのに。なんて笑っていたのだが。
そんなところがかわいかった。
猫のくせにぽくぽく足音をたてて歩いたり、ぐうぐういびきをかいてねていたり。
マヌケたところのあるやつだった。
人にめったに寄ってこない猫だったけど、夜になると妙に
足元にじゃれてくることがあったりして、それから冬の寒い夜だけは、
なぜか私のえりもとにフンフンと寄ってくるので、布団をあけてやると
脇のあたりにすぅっと入ってきてそのまましばらく寝ていくことがしばしばだった。
ふだん寄ってこないだけに、私は冬の夜をいつもとても楽しみにしていたのだ。
今年からは、もうぴゅう子と寝ることができない、と思うと
それが一番、何よりもさびしい。
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